[書評] 池上彰「おとなの教養 私たちはどこから来て、どこへ行くのか?」は仕事に明け暮れる30代にぴったりな1冊だった
- 2016.01.07
- 感想 読書
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Kindle Paperwhite を買ってから電子書籍を買い漁っているのだけど、正月にセールをしていた池上彰さんの著書がとってもためになったのでご紹介。30代、仕事ばかりで世の中に疎くなった僕にぴったりだった。
教養とは「自分を知ること」です(表紙より)
photo credit: Bright light via photopin (license)
毎日仕事ばかりしていると、世の中に疎くなるというか、自分のアンテナをちゃんと立てていないと、何が起きているのかさっぱりわからなくなる。。Yahoo!ニュースとかは毎日見るけど、自分にとって楽しい情報ばかり選んで読んでしまうのでどうしても偏りがちになっちゃうんだよね。
そこで手に取った(というかポチった)のがこちらの書籍。
本のタイトルの通り、人間はどこから来てどこへ行くのか?をリベラルアーツという学問体系をもとに池上さんお馴染みのやさしい解説で教えてくれる。なのでとってもわかりやすい。
リベラルアーツとは?
本から引用すると、
…「自分はどこから来て、どこへ行くのか。自分はいまどこにいるのか」という問いかけがあるのではないでしょうか。
その問いかけは、あなただけのものではありません。過去の人類が、向かい合ってきた問題でもあります。問題への真摯な取り組みが、「リベラルアーツ」という学問体系を築きました。リベラルアーツとは、その時々の「現代の教養」として発展してきました。
池上さんが本の中で述べているのは、現代の日本の大学では専門的な技術ばかりを生徒に教えるため(これは就職に有利であるから)、いざ社会に出ても右も左も分からず「最近の若者は一般常識がない」とか言われてしまうんだとか。なのでそれを見直すためにリベラルアーツを教える動きが出てきているとのこと。実際に池上さんは東京工業大学教授として、リベラルアーツを教えるために教壇に立っているようだ。
そこでこの本では、自分を知るために学ぶべき7つの科目(自由七科)について池上先生が講義をベースに解説してくれるのだ。
自由七科
- 宗教
- 宇宙
- 人類の旅路
- 人間と病気
- 経済学
- 歴史
- 日本と日本人
この7つ。日頃のニュース・出来事を読み解く上で欠かせない内容となっていて、とても興味深く読むことができた。例えば、「なぜ宗教間の戦争が絶えないのか?」とか、「中国や韓国はなぜこれまで反日教育をしてきたのか?」など。今となっては当たり前すぎてスルーされてしまうようなこれらの事象がどうして起きているのか?を丁寧に教えてくれている。
読んでみて思ったのは、僕らはそれらを事象として捉えてはいるけれど、なぜそれが起きたのか?という原因まで、言及は出来ない程度に知識が不足しているんだなということだ。
もちろんこれは語弊ありきで、日々深く教養を身につけている方にとっては当たり前のことかもしれない。けれど、少なくとも自分の周りの人にこの手の質問をしたところで、まともに返ってくる率は低そうだ。
(誤解を招かないように補足すると、だからだめだとかいうわけではなくて、そういう知見を得る機会が大人になればなるほど失われていくのかなーという感じです)
新書なので68ページとページ数もさほど多くなく、2〜3時間程度でサクッと読めてしまう。ただ、これを読めば全ての知識が手に入るというわけではない。あくまでそれらの入り口を示しているだけで、興味があればもっと深く学ぶのが良さそう。
それでも、前提となる知識としては十分であるので、「最近のニュースはどうなっているのかいまいちわからないなー」とか「なんか教養から遠ざかっている感じ…」と思いがちな人にオススメです。特に、僕を含む30代あたりの人は共感出来る人が多いんじゃなかろーか。
余談だけど、今回池上先生の本を初めて読んで大変感銘を受けたので(遅い?)勢い余って以下の本も買っちゃった。いまならセール中なのでお得かも。読むのが楽しみっ。
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