[雑記]もりそばとざるそばの違いに見るモノの価値

[雑記]もりそばとざるそばの違いに見るモノの価値

頭痛に悩まされた今日のお昼。食欲のない僕は、上司と後輩の3人で会社の近くにあるそば屋に入った。そこで、いつも気になっては仕方がない、あることを思い出してしまったのだった。


photo credit: Cold Soba Noodles (close up) via photopin (license)

上司はたぬきそば、後輩は山かけそばを注文した。一方僕は。

「やはりこの2つか…」

お品書きに燦然と輝くそば屋さんの二大巨頭。「もりそば」と「ざるそば」だ。

考えたら負けだと思い僕はざるそばを注文した。考えたら負け?僕はすぐに後輩へ聞いてみた。

「あのさあ、もりそばとざるそばの違いってなんだろう?」
「それは…ざるに乗っているか乗っていないかの違いじゃないですか」
「いやそれはわかるよ。でも値段を見てみてよ。500円と600円だよ?この100円の差はなんなのさ」
「確かに…」

少しだけ沈黙が訪れた。すると上司が助け船を出した。

「海苔が乗っているかいないか、だ」

上司の目を見ると自信が取れて見える。確かにどこかで聞いたことがある説だ。海苔の分だけ上乗せされているんだと。

だが、冷静に、考えてみてほしい。

実際に出てきたざるそばは確かに海苔が乗っていたが、あくまでアクセントとしての量でありとても100円分盛られているとは思えない。

世の海苔の価値がこの量で100円ならば、コンビニで売られているおにぎりは海苔無しならすべて20〜30円になってします。何それお得。

後輩が口を開けた。

「その100円には、ざるであることの価値が含まれているんじゃないですかね」
「価値?」
「ざるにそばが乗ることで適度に水が切れる。一方でもりそばはどうしても水に浸かってしまいふやける。この差ですよ」
「なるほど、言われてみればざるに乗せるというこの行為、革新的だ」
「我々はそこに、お金を払っているんじゃないですかね」

一理ある。海苔の値段にざるの価値。これに僕らは100円を出していたのか。ただ、もう一声欲しい。本当にそれだけか?

頭痛は相変わらず僕を苦しめ、上司はもはや興味がなさそうに壁にかかったテレビを見ている。

この100円に込められたものは、なんだ。

重々しい空気の中、やはり後輩が口を開いた。

「それにほら、ざるって洗いにくいじゃないですか。それですよ」
「あ、それか」

胸にストンと落ちた。

海苔・価値・手間。
この3つの要素が、もりそばとざるそばに100円の差を生み出していたのだった。

そして僕はそばをすする。この100円の差に感謝しながら。

お題を払って外に出る。まだ季節は春なのに夏みたいな気温。頭痛は相変わらずだけれど、この晴れ晴れとした気持ちをもって今日もがんばろう。

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